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原因




 
神経末端部のしくみ  >> 上へ
 
 神経末端部では、神経と筋肉がつながっているのではなく、隙間があります。脳からの命令はこの隙間を橋渡しされます。大脳から送られた運動伝達物質(アセチルコリン)は神経から放出され、それを筋肉側にあるアセチルコリン受容体(アセチルコリンレセプター)が受け取ります。すると筋肉が収縮します。
 筋肉が縮んだままでは困りますので、これを元に戻す働きがあります。この隙間にはコリンエステラーゼという酵素があり、アセチルコリンを壊します。すると脳からの命令が消えて、筋肉の収縮が元に戻ります。こうして私達はなめらかに筋肉を動かしているのです。




 
自己免疫性疾患  >> 上へ
 
 私達の身体には、ウイルスなどが入って来た時に、抗体を作ってそれをやっつける免疫という能力があります。例えば、インフルエンザにかかった時には、インフルエンザウイルスに抵抗する抗体を作ってインフルエンザを治します。
 MGでは、この免疫の働きが何かの原因で故障し、間違った抗体を作る命令を出します。その命令によりリンパ節で抗体を作ります。この抗体が自分の身体の一部(アセチルコリン受容体)を攻撃し、病気を起こしています。
 この「間違った抗体を作る命令を出す」のは胸腺の中で起きていると考えられていますが、詳しいことは明らかになっていません。




間違った抗体が原因  >> 上へ
 
 MG患者では、間違って出された命令によって、リンパ節で作られた抗体(抗アセチルコリン受容体抗体)が、アセチルコリン受容体についてしまいます。身体の中にはこの抗体を壊すものがないので、自然に壊れるまでついたままです。すると次の現象が起きます。
 [1] アセチルコリン受容体に抗体がついているために、アセチルコリンを受け取ることができない。(脳からの命令が届かない)
 [2] 抗体がついていると、アセチルコリン受容体が壊れてしまう。(脳からの命令を受け取るものがなくなる)こうして力が弱くなったり、眼瞼下垂などの障害が残ったりします。




胸腺と関係あるMG  >> 上へ
 
 胎児期や幼児期には、免疫の働きは未熟です。胸腺は抗体を作ったり、抗体を教育したりなど免疫機構の発達に重要な役割をもっています。成長と共に免疫機構が発達し大人になると、胸腺は脂肪組織にかわっていきます。
 MG患者の胸腺には、免疫異常すなわち「間違った抗体を作れ」という命令を出す「T細胞」があることが病気の原因の一つと考えられています。このような理由から成人で症状が中等度以上であれば、胸腺を摘出する意味があるといえます。




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